大地震への備え・対策は済んでいますか?

富山県は全国的に見て、災害が少ない県として知られています。地震に関して言うと、富山県内で震度4以上を観測したのは過去50年を遡ってもたったの6回。そのうち、震度5以上は1回のみですが、13名の負傷者を出した地震でもありました。あれから約50年が経過しているので、被害に遇われた方以外の県民の記憶からは既に消えさった地震なのではないでしょうか。
「富山は地震が少ないとこやから大丈夫!」「地震が起きても大した被害にはならない!」と高を括っている方々がいるのも頷けます。


過去の地震発生傾向からみても、富山県で大地震が発生することはなかなか想像しにくいですよね。ですが、富山県は大地震が発生していないだけで、発生しない訳ではありません!
富山県内とその隣接地域には主要活断層が多く走っており、これらの主要活断層には、活断層による地震の長期的な発生予測(長期評価)により発生確率が高いとされている【Sランク】の活断層が多く含まれています。


もしも、これらの活断層で地震が発生した場合、海溝型地震よりも比較的浅い場所が震源地となり、その地震エネルギーは全てマグニチュード7以上が予想されていますので、大災害となる可能性があります。
富山県に隣接する「糸魚川-静岡構造線断層帯」のうちの長野県区間については、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生する直前の確率8%を超え、特に切迫度が高いとされていますので、こんな身近で大地震が発生することを考えると非常に強い危機感を抱いてしまいます。
「30年以内の地震発生確率が3%以上」という指標は、決して安心はできません。活断層で起きる地震の発生間隔は数千年程度と長期のため、30年程度の間隔での地震発生確率は大きな値とはなりません。地震調査研究推進本部の計算によると、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)発生直前の確率値は0.02~8%ですが、それでも大地震は発生していますので、「発生確率が3%以上 = 発生しにくい」のではありません。
「活断層が多く存在しているけれど、地震の発生確率が低い」という認識で、その情報を世間に広めてしまうと、防災意識を低下させる起因となり、いざ災害が発生しても対応が遅れ、命を落とすことに繋がり兼ねません。
いつ地震が発生してもおかしくない活断層が多く存在している! という認識に切り換え、災害に対する事前の備えと対策に取り組んでもらうことで、災害時の被害を軽減することにも繋がります。

富山県は大地震が発生していないだけで、発生しない訳ではない!大地震は明日起きるかもしれない!という危機意識をもって、住民一人一人が、防災(災いを防ぐ)対策に望んでいただきたいと切実に願います。